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ダウン症とカモのひょんな出会い

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ヒト21番染色体のトリソミーがダウン症(DS)引き起こすことは知られているが、300個以上の候補遺伝子の内の3コピーがどの様に無数のDS関連表現型に影響するのかは不明である。しかし一旦、全ての主要なトリソミー表現型に影響する染色体上の決定的な一部分を仮定できれば、マウスモデル(マウスはヒト疾患のモデル動物として広く使われている)と高度な分子生物学的分析はDS表現型に重要な遺伝子あるいは遺伝子グループを指し示す1だろう。と、ここでフナガモ類の進化がかかわってくる。何故ならフナガモ類は(フナガモ、アルゼンチンフナガモ、オオフナガモ、トビフナガモ)4種が南米に生息しており、トビフナガモ以外飛ぶことができない。そして恐らく飛べる鳥から飛べない鳥が進化した(他の鳥でも何回も起きていること2でもあるが)。4種のフナガモ類の骨格形態特性の正準分析によって得られる第一正規変量と約310,000個のSNIPs(一塩基多型)による全ゲノムにわたる連鎖分析を行った結果、第一染色体においてSNIP24個とp値10-9未満で連鎖を示した。そこから28個の既知の機能と注釈付けられた遺伝子と18個の機能不明な遺伝子候補が発見された3。その内の9個が、なんとヒトのダウン症関連遺伝子であり、そのうちの一つとしてDYRK1Aがあったのである。


引用文献

1,
Korbel, J.O., Tirosh-Wagner, T., Urban, A.E., Chen, X.N., Kasowski, M., Dai, L., Grubert, F., Erdman, C., Gao, M.C., Lange,K. et al. (2009) The genetic architecture of Down syndrome phenotypes revealed by high-resolution analysis of human segmental trisomies. Proc. Natl Acad. Sci. USA, 106, 12031–12036.

2.
Roff, D. A. 1994. The evolution of flightlessness: Is history important? Evol. Ecol. 8:639–657.
3.
Leonardo Campagna, Kevin G. McCracken and Irby J. Lovette, 2019. Evolution Gradual evolution towards flightlessness in steamer ducks.





タグ:フナガモ
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トリソミーDyrk1aの遺伝的および治療的調節を使用したTs65Dnダウン症候群マウスの異常な骨格表現型の救済

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Rescue of the abnormal skeletal phenotype in Ts65Dn Down syndrome mice using genetic and therapeutic modulation of trisomic Dyrk1a

21トリソミーはダウン症(DS)患者に骨格の変化を引き起こすが、原因となるトリソミー遺伝子とこれらの異常を救済するための治療アプローチは不明である。DS患者は、骨密度の低下、骨構造の変化、独特の顔の特徴などの骨格の変化を示す。末梢骨格の異常と長寿のために、DSの患者はますます骨折しやすくなる。DS骨格異常の遺伝的および発達的起源の理解は、DS関連する欠陥を救済するための治療法の開発を容易にするだろう。DYRK1Aは、DSおよびTs65Dn DSマウスの個体に3つのコピーが見られ、骨格異常を含む多くのトリソミー21表現型に関与すると仮定されている。Ts65DnマウスでDyrk1aのコピー数が正常レベルに戻ると、四肢の骨の異常が救われました。これは、DSの四肢骨格の発達と維持に適切なレベルのDYRK1A発現の重要性を示唆する。DYRK1A阻害剤エピガロカテキン-3-ガレートを使用した治療は、Ts65Dn骨格表現型を改善した。これらの結果は、DSに関連する骨減少症の表現型がトリソミーのDyrk1aを標的とすることによって出生後に救出される可能性があることを示唆する。
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